狭隅角(きょうぐうかく)とは、
目の中に存在する隅角(ぐうかく)と呼ばれる部分が
狭くなってしまっている、という状態ですね。
狭くなっているだけで済めば良いのですが、
これを放置しておくと、場合により
眼圧が急激に上昇してしまい、
急性緑内障発作(きゅうせいりょくないしょうほっさ)を
起こしてしまう可能性があるのです。
(急性緑内障発作についてはこちらをご覧ください。
この緑内障は、失明に至る恐れもありますから、
狭隅角と呼ばれる状態になってしまった場合は、
適切に対処を行っていくことが必要になるのです。
では、この状態になってしまう原因や治療方法
放置しておくとどんなことが考えられるのか。
それぞれ、見て行きましょう。
どんな状態なの?
上記で説明したとおり隅角と呼ばれる部分が
狭くなってしまっている状態で、
緑内障の原因の一つとなる状態です。
この部分が狭くなることにより、目の中の眼圧に
関係する房水が、上手く排出されなくなってしまい、
結果的に眼圧が高まってしまう、という状態になります。
急性緑内障発作に繋がる可能性もあり、
必要に応じて、隅角の広さを元に戻す治療などを
行っていく必要があります。
急性緑内障発作は、
眼圧が急激に上昇してしまうもので、
平常な眼圧の2倍以上の数値に上昇してしまうようなこともあります。
こうなってしまうと、頭痛・目の痛み・吐き気・視力低下などの
症状が現れてしまい、ただちに治療が必要になります。
治療が遅れたり、放置してしまった場合に関しては、
失明してしまいますので、非常に危険な病気なのです。
その入口となってしまう可能性もある
狭隅角ですから、症状が出ている場合は
早めに対処しなくてはなりません
原因は何なの?
隅角が狭くなってしまう原因は何なのか?
遠視の年配の女性に多いようですが、
具体的に「こうすると狭隅角になってしまう」と
言うはっきりとした条件は無いようです。
ただ、一部の薬により隅角が狭くなったり、
散瞳によって隅角が狭くなったりということはあるようです。
通常は、また元に戻るのですが、
そうならずに、狭隅角の引き金になってしまう
可能性も、0ではないようです。
症状はない
狭隅角そのものに関しては、自覚症状はありません。
隅角が狭くなっていたとしても
自分で「隅角が狭くなっているな…」などと感じることは
ないため、全く自覚症状はない、ということになります。
もしも何らかの自覚症状があるのであれば、
それは既に緑内障に進行してしまっているか、
別の病気の可能性が高いです。
なお、狭隅角が引き起こす
急性緑内障発作には、症状があり、
頭痛、吐き気、目の痛み、急激な視力低下、視野欠損が
起こります。
こうなってしまった場合は、ただちに治療が必要に
なりますから、病院に一刻も早く向かうようにしましょう。
ただ、狭隅角そのものに関しては”無症状”なので
自分から「狭隅角だな」と思うことは
ないかと思います。
怪しいな?と思ったらどうすれば?
上記で説明したとおり、狭隅角には症状というものが
ありません。
そのため「怪しいな?」などと自分から思うことは
あまりないかと思います。
もしも不安なのであれば眼科で検査を受けることが
第1ですが、何も症状がないのにビクビクしていては
精神的にもよくないですから、
目の定期的な検査や、目の他の症状などで眼科を受診した際に
たまたま見つかる、というかたちになるかと思います。
自分から、狭隅角が心配で…
みたいな感じでビクビクする必要はないと思います。
どのような検査で判明するの?
狭隅角はどのような検査を行うことで発見できるのでしょうか。
狭隅角を調べるための検査としては、
眼科の一般的な検査、
視力検査・眼圧検査・眼底検査などに加えて
「隅角検査」と呼ばれる検査が存在します。
それぞれの検査に関してですが、
「視力検査」は定番の視力検査です。
これについては、特に説明はいらないでしょう。
次に「眼圧検査」。
これは、目に空気を当てて、眼圧を調べる検査です。
眼圧が髙ければ緑内障の疑いが、
逆に低すぎる場合は網膜剥離などの疑いがかけられます。
(眼圧検査の詳細はこちらをご覧ください)
「眼底検査」は、
眼底に異常がないかどうかを確認する検査で、
散瞳薬を点眼したのちに、目に光を当てて確認します。
痛みはありませんが、6時間ほど散瞳薬の効果が続くため
ぼやけたり、まぶしく感じたりする場合があります
(眼底検査の詳細はこちらをご確認ください)
「隅角検査」は
専用のレンズを乗せて隅角の状態を確認する検査です。
緑内障の疑いなどがある場合に行われる検査で、
狭隅角もこの検査ではっきりと確認することができます
(隅角検査の詳細はこちらでご確認ください)
これらの検査を行い、狭隅角かどうか、
そして狭隅角の治療が必要かどうかを確認します。
その後、医師の判断のもと、治療が行われるかたちになりますね。
どの検査もそれほど大きな負担のかかる検査では
ありませんから、検査自体に関しては、安心してもらっても
大丈夫ではないかと思います。
治療の必要性は?治療法はあるの?
狭隅角と診断されたら100パーセント治療が必要なのか?と
言われると必ずしもそうではありません。
急性緑内障発作に繋がる危険性があると判断された場合に、
治療が行われるかたちになります。
そのため、狭隅角と診断された=治療とは限りません。
場合によっては経過観察などが行われる場合もあります。
が、急性緑内障発作の可能性があると判断された場合、
そのリスクが高いと医師が判断した場合は、
レーザー手術が行われることになります。
レーザー虹彩切開術というものが行われて
隅角が閉じないように道を作ります。
痛みはほとんどなく、
それほど長い時間かかる手術ではありません。
術後のリスクや、併発している病気などによって
手術が適応されるかどうかなどの問題もありますが
そういった部分は診察している眼科の先生が
しっかりと判断して下さると思います。
この治療を受ければ狭隅角自体は解消でき、
急性緑内障発作を起こす危険性は低くなります
(当然、0になるわけではありません)
この治療を受けるか、それとも受けないか。
これは医師によって判断が異なり
「一刻も早く手術を受けるべき」という医師も居れば
「様子を見るべき」という医師がいるのも現実です。
先生によって判断が異なるので、自分の意思もしっかりと
伝えながら治療を進めていくようにしましょう。
放置しておくと急性緑内障の危険が…
狭隅角は、自覚症状がないので、気づいていない場合は
仕方がないですが、気づいているのにも関わらず
放置することは危険です。
前述したように急性緑内障発作に繋がる危険性があり、
それが原因で、失明する恐れもあります。
そのため、しっかりと眼科で定期的に診察を受けて、
必要とあれば、しっかりとした治療を受けることが
何より大事なポイントになります。
くれぐれも、気づいているのに放置する、
ということがないようにしましょう。
ただ、自覚症状なしのため「気づかない」可能性も
あるかと思います。
できれば定期的な検査を…と言いたいところですが
なかなか習慣として定期的な検査を受けるのも
難しいでしょうから、目に何かおかしな部分や
不安な部分があったら眼科を受診する、
というようにしておくのが良いかと思います。
まとめ
狭隅角自体は、特に症状をもたらすわけではないのですが、
非常危険な急性緑内障発作の引き金となり、
最後には失明してしまう可能性もありますから、
注意が必要な状態であるのは確かです。
が、自覚症状がないため、
普段、眼科に行かない、行く用事がない人は、
気付かぬまま、という可能性もあるため、
その点は、注意が必要です。