急性緑内障発作(きゅうせいりょくないしょうほっさ)とは、
緑内障の一種なのですが、
通常、ゆっくりと進行していく緑内障とは違い、
急性の発作の場合は、1週間もしないうちに失明に
至ってしまう可能性もある、極めて危険な状態です。
前触れもなく、突然視野の欠損や激しい痛みなどに
襲われて、あっという間に失明してしまう可能性も。
すぐにでも病院に行き、治療を受ける必要がある
恐ろしい病気が、この急性緑内障発作なのです。
では、この病気がどのようなものなのか、
原因・症状・治療方法などについて、
それぞれご紹介していきます。
そもそも緑内障とは?
緑内障とは、眼圧の上昇などを起因として、
視神経にダメージを与えてしまい、
視野欠損などを引き起こしてしまいます。
この状態が緑内障になります。
通常の緑内障の進行速度は「ゆっくり」であり、
急激に視野の欠損が進んだりだとか
そういうことはありません。
そのため、まずは眼圧を下げる薬などの処方により
治療を行うことになり、それで効果が現れるかどうかを
確認していきます。
効果が認められない場合は、レーザー治療や手術などが
行われますが、
基本的には経過観察をしながら
治療方法を選択していく、と
そういうスタイルになっていくかと思います。
が、急性緑内障発作の場合は、
そうはいきません。
“急性”のものは、他の緑内障とは異なり、
急激に症状が進行します。
経過観察などしている場合ではなく、
ただちに治療を行う必要があるのです。
(通常の緑内障については緑内障とは?の記事をご覧下さい
こちらでは、急性のものに関して、書いて行きます)
急性の原因はなに?
目の中には房水と呼ばれる液体が循環しています。
この循環が正常に行われることによって「眼圧」が保たれているのですが、
隅角と呼ばれる部分が、何らかの原因で狭くなってしまうことで、
房水が上手く排出されなくなってしまい、
目の中のバランスが崩れてしまいます。
この、隅角が狭くなってしまった状態は「狭隅角(きょうぐうかく)」と
呼ばれており、目の房水をはじめとする内部の循環が
おかしくなってしまいます。
この状態が続くと、眼圧が上昇し、発作を起こしてしまうことがある、
ということになります
つまり、原因は”隅角が狭くなること”なのです。
とは言え、そんな仕組みどうこうよりも、
何をすれば、隅角が狭くなってしまうんだ!
というほうが気になることかと思います。
その原因に関しては、
具体的には”不明”です。
遠視の人がなりやすい、だとか薬の影響だとか
眼科検査で使う散瞳剤の影響だとか、
そういうことも言われていますが
「これをしてはいけない」だとか、そういうことがないのが
特徴の一つです。
眼科などでたまたま狭隅角だと診断されたりしない限り、
隅角が狭いことで、目に痛みを感じたりすることは
基本的にはないため、自分で「やばい!隅角が狭くなっているかも!」
などと感じることはないかと思います。
別件で眼科の診察を受ける際に偶然発見されたりだとか、
急性緑内障発作の症状が出てから気付いたりだとか、
そういうことが考えられます。
が、もしも発作を起こす前に狭隅角に気付くことが
できれば、経過観察の上で、急性緑内障発作の危険性ありと
判断された場合、レーザー治療などで、狭隅角を解消
することも可能です。
早めに気付いて、急性発作が起きないよう
することも可能なのです。
ただ、その”気付くまで”が難しいのがネックになりますね。
(狭隅角についてはこちらをご覧下さい!
急性発作の症状は?
急性の発作が起きると、急激に症状が出てきます。
そして、短期間のうちに急激に症状は進行し、
短期間のうちに失明してしまう可能性もある非常に
危険な病気となっています。
どのような症状が出るのかどうか。
急性発作を起こすと下記のような症状が出るといわれています。
・急な頭痛
・吐き気
・目の充血
・かすんで見える
・ぼやけて見える
・目の痛み
・目の重み
・視野欠損
・失明
などがそれぞれ存在しています。
これらの症状のうち、視野欠損と失明は
重症例のお話で、
適切に対処できればそこまでたどり着いてしまう可能性は
低いですが、
激しい頭痛や吐き気がしている場合、
「目の症状」でないと勘違いしてしまい、
結果的に眼科治療が遅れてしまうケースなども
存在しているようなので、その点に関しては
注意を行わなくてはいけません。
もしも、急性緑内障発作が起きた場合は、
脳神経外科や内科ではなく、眼科で治療を
受けるのが基本になるのですが、
勘違いから、治療が遅れてしまうこともあるのです。
急性発作の治療は可能?
急性発作が起きてしまった場合に関しては
ただちに治療を行うことが大切になります。
すぐにでも、治療を行うことができないと、
短期間で失明してしまうほか、
失明を免れたとしても、治療までの間に
欠損してしまった視野を元に戻すことはできなくなってしまいます。
そうなってしまうと、後遺症が残ることになります。
治療としては眼圧を下げるための治療、
レーザー、手術、症状によって、様々な治療法が
取られます。
緊急性がとても高い病気(状態)なので、
ただちに眼圧を下げて、原因を取り除かないと、
失明に至る危険性があります。
急性緑内障発作を起こしてしまった場合でも
治療自体は可能なのですが、
後遺症などが残る可能性もありますし、
発見が遅れてしまえば、失明に至ってしまう可能性も
非常に高いのが事実です。
そのため、急性緑内障発作が起きないようにすること、が
何よりも大切になります。
引き金になるケース
”緑内障発作を誘発してしまうもの”というのがいくつか存在しています。
上記の狭隅角の状態もそうですが、
それ以外にも緑内障発作を引き起こしてしまう可能性をあげる
行為が存在しています。
それは「薬」に関係するものですね。
1つは、眼科の眼底検査などで用いられる「散瞳薬」によるもの。
通常、副作用などはなく、検査自体も心配はいらないものなのですが、
稀に、急性の発作の引き金になってしまうケースもあるのでその点は
注意が必要です。
ただ、眼底検査は眼科で行う検査ですから、
急性の変化が出れば、眼科医が近くにいるわけですから
適切に対処を行ってもらえる可能性は高いです。
もう1つが、風邪薬、睡眠薬、抗ヒスタミン剤などの薬によるものです。
これらには一時的に隅角を狭くしてしまう作用が含まれており、
可能性としては非常に低いのですが、
急性の緑内障発作を引き起こす原因になってしまう可能性も
わずかながらあるのです。
可能性は非常に低いとは言え「0」ではないので、
その点については覚えておいた方が良いでしょう。
予防方法としては
「レーザー手術」や「白内障手術」などが挙げられます。
レーザー手術は狭隅角の治療として行われており、
狭くなった隅角を広げることができます。
また、白内障手術も細かい部分は省略しますが、
レンズなどを入れることで隅角を広げる効果があり、
緑内障発作の発症率を減らすことが可能になっています
まとめ
急性緑内障発作は、緑内障関連のものでも
最も危険なものです。
これによって短期間で失明してしまうこともあり、
発作が起きると、失明を避けることができれたとしても
重大な視力障害を残す恐れもあります。
しかも、その症状は「目が原因」であると気付きにくい症状。
いち早く治療しないといけないのに、
気付くことができないケースなども存在するのです。
一度、視野の欠けが出てしまった場合は、
それはもう手遅れです。
その欠けた部分は元には戻りません。
そのため、日ごろから知識を蓄えておくことは大切なのです。