急性出血性結膜炎(きゅうせいしゅっけつせいけつまくえん)とは、
ウイルスによって引き起こされる目の病気です。
最近ではあまり大流行はしておらず、
また、失明などに繋がるような病気ではないため、
万が一なってしまった場合でも、適切に治療が
行われていれば、それほど心配する必要はない
目の病気になります。
ただし、もしもこの病気になってしまった場合は、
念のため眼科の診察を受けておくと確実です。
では、この病気になってしまった場合、
どのように対応してば良いのかも含めて
概要を見ていきましょう。
ウイルス感染による病気!
エンテロウイルスの仲間
(エンテロウイルス(70型)やコクサッキーウイルス(A24変異型))
に感染してしまうことにより発症する結膜炎の一種です。
かつて、アポロ11号が人類初の月面着陸を達成した際に
この病気が流行したこともあり「アポロ病」とも名づけられています。
当初、月から持ち帰った病原菌が原因ではないか、とまで
言われていたようですね。
しかしながら、結局、地球上の病原体が原因であることが
後に判明しています。
近年の日本では大流行は見られなくなった病気ではありますが、
感染拡大の危険性もある病気なのです。
ウイルスに感染する原因は?
この結膜炎自体の原因は、上記でも説明したとおり、
”ウイルス感染”によるものになります。
では、そのウイルスに感染してしまう原因は何か。
これは、手に触れて、手に付着したウイルスが目に触れることで
目に感染することで起こります。
どのような場所で…となると、風邪やその他のウイルスのように
ウイルスは目には見えませんから、どうにもならないですが、
とにかく清潔な状態をなるべく保つようにすることが大切です。
また、ウイルスは感染力が強いので、もしこの病気になって
しまった場合は、感染を予防するようにしましょう。
タオルの共用を避けたり、入浴時間を調整するなどして、
なるべく接触する機会を減らすことが重要になります。
潜伏期間は1日前後とされており、ウイルスに感染したその日に
症状が出てしまうわけではありませんが、
比較的短い期間のうちに、この症状が発症します。
年齢層としては1歳~4歳児に比較的発症者が多いとのことです。
また、成人の方が症状が悪化しやすい傾向にあるようです
(悪化する、と言っても基本的には同じで
失明などの危険性はありません)
症状は主に目の不快感
この結膜炎の症状は、主に目の不快感になります。
視力障害がおきたりだとか、失明につながるような重大な
事態になってしまったりだとか、そういうことは基本的にはありません。
ただし、症状自体は辛いと思いますから、
眼科などで治療を受けることが大切になります。
主に出現すると言われている症状は
下記の通りになります。
・目の痛み
・目のゴロゴロした感じ
・目やに
・目の充血
・白目に出血が見られる(結膜下出血)
(結膜下出血についてはこちらをご覧ください)
白目の部分が真っ赤になったりすることもありますが、
これに関しても、見た目には違和感があっても、
緊急を要するものではないので、
真っ赤になっているとびっくりしてしまうかと思いますが、
慌てることなく、冷静に対応するようにしましょう。
なお、稀に6~12か月後に手足のしびれが出ることが
あるようです。
この病気になったらどうすれば?
基本的に、他の病気が併発したりしなければ、
病状が悪化するようなことはありません。
症状は発症から1週間もすれば、自然に回復するようです。
しかしながら、感染力もあり、症状が強い場合もあるので、
可能であれば眼科の診察をしっかりと受けておくことが
ポイントになります。
眼科では視力検査や眼圧検査、顕微鏡による検査などが
行われ、他の部分に異常がないかを念のため確認後、
治療薬などの処方が行われることになるかと思います。
治療方法はあるの?
特別な治療方法はありません。基本的に自然と治ります。
眼科では対症療法が行われ、
出ている症状に対する治療が行われる、
という感じになりますね。
点眼薬の処方が一般的な方法になり、
症状にあった点眼薬が処方されます。
無理をしないようにして、症状が落ち着くまで
目を酷使しないようにしていれば、症状は
自然と治ってきます。
この結膜炎に対して注射をしたりだとか、
手術をしたりだとか、そういったことはないので、
その点に関しては安心してもらっても
大丈夫であるかと思います。
放置しておくとどうなる?
こちらの病気は放置しておいても、
自然と1週間程度で治癒する病気になります。
そのため、症状が辛くなければ
周囲への感染に気をつけつつ、
様子を見ても問題はありません。
ただ、同じような症状を持つ病気は他にも
ありますから、やはり眼科で検査を受けた方が
確実ではあるかと思います。
最初は様子を見ても構いませんが、
眼科の診察を受けた方が良い事例としては、
・症状がいつまで経っても良くならない場合
・症状が次第に悪化していく場合
・別の症状などを併発している場合
・目の痛みなどが強く、耐えられない場合
これらに関しては、放置せず、
別の病気の可能性も否定はできませんから、
しっかりと眼科で検査を受けるようにした方が
確実です。
感染を予防するためにはどうすればいいの?
この結膜炎の感染拡大を避けるためには
どうすれば良いのか。
この病気は感染者が触ったものを別の人が触り、
その手で目をこすったりすれば、感染してしまう恐れがあります。
そのため、感染拡大を防ぐ意味でも、
気をつけなくてはいけません。
なお、予防接種などは存在していませんから、
自分たちで注意していく必要があります。
・手を洗う
自分の感染を防ぐため、周囲への感染を防ぐために
手洗いは基本となります。
この病気に限らず、ウイルス系に関しては、
基本中の基本になる予防方法ですね。
症状が無くなった後も排出物などにウイルスが
混じっているとのことなので、注意が必要です。
・タオルなどの共用を避ける
急性出血性結膜炎になっている人と、
タオルなどは別々のものを使うようにしましょう。
気を付けていてもうっかり、なんてこともありますから、
共用しないようにすることが大切になります。
・入浴にも注意
入浴時にも当然、感染を広げる恐れがあります。
入浴を避けるか、感染している本人は、最後に入浴するなどの
工夫が必要となります。
・直接の接触を避ける
当然のことですが、感染している本人の目と自分の目を
くっつけたりだとか、目をこすった手を触ったりだとか、
無用な直接の接触は避けるようにしましょう。
なお、急性出血性結膜炎に関しては
感染拡大の危険性があるため、
学校において「出席停止」になる感染症です。
眼科から診断を貰った場合は、速やかに学校に
連絡を行うようにしましょう。
幼稚園、保育園、小学校など、それぞれで対応が
異なる可能性がありますから、
詳細は学校側に必ず確認して、指示を仰ぐように
して下さい。
まとめ
症状としては自然治癒しますし、
失明などに繋がるような病気ではないので、
そこまで心配しなくても大丈夫なのですが、
ウイルスが原因であるために
「感染拡大」の方を心配しなくてはなりません。
なるべく周囲への感染を拡大しないようにし、
適切に行動していくことを
心がけていきましょう!
眼科を受診するかどうかは自由ですが、
他の病気の可能性も0ではありませんから、
やはり、目に異常を感じた際には、眼科で診察を
受けてはっきりとさせておく、ということが
一番大切になるのではないかと思います。