霰粒腫(さんりゅうしゅ)とは、
ものもらいと呼ばれることもある、
目の症状の一つです。
まぶたの中に肉芽腫ができてしまい、
それにより、不快症状などを伴う病気となっています。
肉芽腫…などと言われると不安になってしまうかもしれませんが
こちらは良性のものであり、
命に関わったりする可能性はまずありません(一部例外あり 後述します)
が、症状が出てしまった場合に関しては
しっかりと治療を行っていくことが大切なポイントになります。
では、どのような原因、症状、治療法なのか、
順番に見ていきましょう。
どのような病気なの?
まぶたの部分のとある部位(マイホーム腺と言います)が詰まってしまい
炎症を起こし、それが続くことによって、
肉芽腫が出来てしまう、という病気になっています。
ものもらいと呼ばれることもありますが、
もう一つの、ものもらい「麦粒腫(ばくりゅうしゅ)」とは異なり、
細菌感染が原因ではなく、
細菌感染を伴わない症状になっています。
(麦粒腫についてはこちらをご覧ください)
同じものもらいであっても、
内容は全く違うもの、ということになりますね。
原因は何なのか?
まぶたにある一部分が塞がって炎症が起きるのが原因、
などと言われても、「じゃあ、どうしてそうなってしまうの?」と
疑問に思うと思います。
これに関しては、乳幼児から高齢者まで発症する病気で、
詳細な条件などに関しては不明です。
ニキビなどが影響することもある、と言われていますが、
どのようにすればこれを完全に予防できるのか、ということに
ついては分かっていません。
なお、先ほど”ほとんどの場合命に関わることはない”と
書いた理由として、高齢者の場合、稀に”悪性の腫瘍”であることもあります。
霰粒腫だと思っていたら実は違っていた…ということですね。
高齢者の場合で、何度も何度も症状を繰り返す場合に関しては
病院でしっかりと検査をして、見極めることが大切になります。
症状はどんなものなの?
霰粒腫の症状としては下記のようなものが
挙げられます。
目の不快症状が中心になりますが、
腫れなどが大きくなった場合に関しては
視界の邪魔になる可能性もあります。
主な症状を羅列しておくと、
・まぶた周辺や全体の腫れ
・目の異物感
・肉芽腫ができる
・肉芽腫が大きくなると視野の妨害になる
・肉芽腫の内容物が外に出てくる
などになりますね。
炎症などの症状は基本的には出てこないのですが、
場合によっては細菌感染を伴ってしまう場合もあり、
そうなってしまうと
急性霰粒腫(きゅうせいさんりゅうしゅ)という状態になってしまい
炎症・痛み・赤みなどを伴ってしまうケースもあります。
この場合の症状は麦粒腫の症状によく似た症状が出てきます。
おかしいなと思ったら?
もしもまぶたのあたりに晴れが出て来たりした場合は
この病気である可能性があります。
できものが小さい場合に関しては自然と治ることも
あるのですが、大きい場合に関しては治療が必要ですし、
悪化してしまう可能性なども考えられます。
また、ご高齢の方の場合は、悪性腫瘍などとの
見極めなども大切になりますから、
一度は眼科で診察を受けておいた方が確実では
あると思います。
何の病気でもそうですが、放置しておいて
悪化してしまえばしてしまうほど、治療は
大変になりますし、後々に影響を残してしまう
可能性も十分にあります。
”おかしいな”と感じたらできる限り
眼科で診察を受けておいた方が良いでしょう。
どのような検査をするの?
検査としては、まぶたの部分を詳細に確認することで、
識別することが可能になっています。
ただし、まぶたの部分が腫れる病気は、
この病気だけではなく、他にもいくつか存在しているので、
それらとの見極めが大切になります。
行われる検査としては
細隙灯顕微鏡検査(さいげきとうけんびきょうけんさ)や、
眼圧検査・眼底検査などになるかと思います。
もしも眼底検査を行う場合は、
散瞳薬というものを点眼するため、
6時間程度、視界がぼやけたりする可能性があります。
他の2つの検査については痛みなどもありませんから、
安心して受けることができるかと思います。
基本的には、行われる検査はこれだけですが、
悪性腫瘍との見極めが必要だと医師が判断した場合に関しては
皮膚の組織などを採取する検査を行う可能性もあるようです。
治療方法は?
では、この病気はどのように治療をして行けば良いのでしょうか。
まず、できものが小さい場合に関しては
自然に治癒する場合もあります。
この場合に関しては特別な治療を施さなくても治る、
ということになります。
ただし、数週間~1、2か月程度かかる場合があります。
が、できものが大きい場合や、
繰り返し何度も発症するようなケースでは、
ステロイド剤の注射を行ったり、場合によっては
摘出の手術を行うことになる可能性もあります。
この辺りは、再発するかどうかや、
腫れの程度などから判断されるかたちになります。
なお、炎症を起こしてしまった場合に関しては
抗生剤の投与や、目薬などが処方され、
それに対処していくかたちになります。
できものが小さい場合は自然治癒する場合もある、
と上に書きましたが、できることなら眼科の診察を
受けておいた方がより安心なのは確かです。
放置しておくと?
霰粒腫を放置しておくとどうなるのか。
霰粒腫そのもので失明することは基本的には
聞いたことはありませんが、放置することで、
できものがさらに腫れてしまい、視界の邪魔になってしまう
可能性は充分に考えられますから、その点に関しては
注意した方が良いかとは思います。
また、上でも書いた通り、自然治癒することもあるので、
しばらく様子を見るのは問題ないかと思いますが、
・なかなか治らない場合
・症状がどんどん悪化していく場合
・自分で気になる場合
・一度治っても、症状を繰り返す場合
に関しては眼科での治療が必要になるかと思いますので
放置することなく、しっかりと治療を受けるようにしましょう。
なお、これも先ほど書いたことですが、
高齢の場合、繰り返す場合は悪性の腫瘍であるケースなども
考えられます。
この場合は、放置しておくことによって、命に関わる
大問題に発展してしまう可能性もありますので、
早めに眼科の診察を受けるようにしましょう。
人に移るの?
「ものもらい」は人に移るというイメージを
お持ちの人もいらっしゃいますが、この霰粒腫は
そもそも細菌によるものではありませんから、
感染しようがありません。
当然のことながら、人に移ることはありません。
もしも霰粒腫になってしまっても、
その点は心配しなくても大丈夫です。
また、もう一つ、ものもらいと呼ばれる
麦粒腫のほうも、人に移ることは基本的には
ありません。
そのため、感染については、気にしなくても大丈夫です。
ただ、汚い手で目をこすったりだとか、
そういったことは、どちらのものもらいにしても、
良い事はありませんから、
なるべくこすったり触ったりしないようにしながら、
しっかりと治していくようにしましょう。
まとめ
目の不快症状を伴いますので、
自然治癒することもありますが、可能であれば
一度眼科で診察を受けてしっかりと
対処してもらった方が良いかと思います。
基本的には失明だとか、そういう重度な結果に
辿り着いてしまうことはありませんから、
眼科でしっかりと診察を受け、治療を受けていれば
目を守ることができます。
場合によっては手術などが必要になる場合もありますが、
しっかりと眼科の先生と相談しながら
適切な治療方法を選択していくようにしましょう!
放置しなければ、そこまで心配しなくても大丈夫です。