モーレン潰瘍(かいよう)という病気を聞いたことがありますか?
それほど聞き慣れない言葉だとは思いますが、
角膜に生じる潰瘍のひとつで、
角膜潰瘍と同じような症状を生じます。
目の不快感や痛みなどの症状が基本にはなりますが、
こちらの病気を放置しておくことによって、
他の病気を併発してしまい、
最終的には失明に至ってしまうこともある
恐ろしい病気の一つです。
また、治療は非常に難しく、
長い時間をかけて治療をしていくことが必要になる病気なので、
決して放置したりすることなく、かつ焦らずじっくりと
治療していくことが大切になります。
くれぐれも、面倒だからと途中で治療を放棄したりだとか
そういうことはないようにしましょう。
それでは、この病気についての概要を
解説していきたいと思います。
どのような病気なのか?
目の大事な部分の一つ、角膜に生じる病気で、
進行性の病気になります。
放置しておけばしておくだけ悪化していくタイプの
病気になっています。
上でも書いた通りに最悪の場合は失明にいたることも
ありますから、医師の診察のもと、
適切な対応をしていくことが大切になります。
なお、モーレン潰瘍は、
蚕蝕性角膜潰瘍(さんしょくせいかくまくかいよう)と
呼ばれることもあります。
この名前で診断された場合は、同じものと
考えて大丈夫です。
モーレン潰瘍=蚕蝕性角膜潰瘍と覚えておきましょう。
では、原因・症状・治療法を
それぞれ解説していきたいと思います。
原因は何か?
モーレン潰瘍になってしまう原因は、
詳細については明らかになっていません。
そのため、この病気にならないようにと
100パーセント予防することはできず、
誰にでも、この潰瘍になってしまう可能性は
ある、ということは覚えておかなくては
いけません。
説の一つとして、
自分自身の免疫が角膜を何らかの要因で
攻撃してしまう自己免疫疾患であるという説が
ありますが、これも明確に解明されているわけではなく、
詳細な原因は不明のままとなっている病気です。
今後、研究などが行われて解明されていくことに
なるのだと思いますが、
まだまだ長く、時間がかかりそうですね。
もしもモーレン潰瘍だとされてしまった場合に
関しては医師の診察のもと、しっかりと
経過観察を行っていく必要があります
どんな症状が出るのか?
では、もしもモーレン潰瘍になってしまった場合、
どのような症状が目に生じるのでしょうか。
下記のような症状が出る場合は、
一応、この病気である可能性も視野に
入れておくのが良いでしょう。
症状としては、
・目の充血
・目のかゆみ
・目の痛み
・その他目の不快感
などになります。
ここまでの内容だと、それほど深刻に感じないかもしれませんが、
悪化した場合、目の痛みが、睡眠を妨害したり、
日中、何をするにも気になってしまうぐらいのレベルに
悪化してしまうこともあります。
また、この病気は先にも書いた通りに
進行性の病気のため、
基本的に角膜から、どんどん潰瘍の範囲が広がって行ってしまいます。
広がった潰瘍は、強膜・結膜にまでおよび、
角膜穿孔を併発し、失明してしまう可能性があります。
最初の症状から、最悪の場合は、
失明にまで到達してしまう可能性がある、
ということになりますね。
非常に難しい病気である、ということは
覚えておいた方が良いでしょう。
上記のような症状が出たら…?
もしも上記のような症状が出てしまった場合は
どのようにすれば良いのでしょうか?
基本的には「眼科」の診察を受けることを
おすすめします。
痛み・かゆみ・充血などの症状は、
モーレン潰瘍でなくても、出てきますし、
特に大きな病気ではない可能性も十分にありますが、
それでも、他の色々な病気である可能性も
否定はできません。
痛み・かゆみ・充血などの症状は
日常的にみられることもあるので、
しばらく様子を見てみても良いとは思います。
ただし、下記のような状態であれば、
必ず早めに医師の診察を受けることを
強くおすすめします。
・いつまでも症状が続く場合
・症状が次第にひどくなっていく場合
・一度治っても何度も症状を繰り返す場合
・痛みなどが強く、日常生活に支障が出ている場合
・その他の症状も併発している場合
・症状に関して、自分で何らかの不安がある場合
これらに関しては、眼科で診察を受けた方が良いかと思います。
特に大きな病気でなければ、それはそれで安心できますし、
モーレン潰瘍に限らず、何らかの病気である可能性も
充分に考えられることです。
しっかりと自分の目に何がおきているかを確認して、
それに見合った対処をしていく、ということは
とても大切なことになります。
検査はどのように行うの?
眼科の基本的な検査を行います。
細隙灯顕微鏡(さいげきとうけんびきょうけんさ)などの
光を当てるだけの検査で、角膜の状態を確認し、
他の病気との区別のために、血液検査などの検査を
行う場合もあります。
場合によっては、最初、別の角膜の病気と
診断されて、その後に調べていくにつれて…
という流れになる可能性も十分にあるかとは思います。
治療方法は確立されていない
モーレン潰瘍に関しては、ザンネンながら
根本的な治療方法は見つかっておらず、
症状を抑えるための治療が行われるかたちになります。
ただし、この病気になってしまったからといって、
失明してしまう、だとか、そういうことではなく、
しっかりとした治療を続けることによって
日常生活に支障のないレベルで生活を
送ることは可能なので、
しっかりと医師の方の指示に従って
治療を進めていくようにしましょう。
治療方法としては手術やステロイドなど投与が
行われます。
状況に応じて医師の方が判断するかたちになりますね。
場合によっては、症状が落ち着き、
病気自体は完治はしていないものの、特に目立った症状が
出ることなく、日常生活を送ることができるような
レベルにまで回復することもあります。
その場合は、ステロイドなどによる治療を中断し、
点眼薬による治療に切り替えが行われるケースも
あるようです。
現時点では完治させる方法が見つかっていない病気に
なりますから、長い間、この病気に付き合っていく
かたちにはなってしまいますが、
しっかりと治療を行っていくようにしましょう。
放置しておくと失明の可能性が
モーレン潰瘍を放置しておくと、
進行性の病気なので、次第にその症状は
進行していく場合がほとんどです。
放置しておけば、自然に潰瘍が治るだとか、
気にしないようにすれば、病気に打ち勝つことが
できる、だとか、そう言う問題ではないので、
そこのところは注意するようにしましょう。
放置を続けてしまうと、最悪の場合は失明に
至る可能性もある危険な病気です。
当然、根治するのが難しい病気と言えど、
治療の開始が遅れれば遅れるほど、その後の治療も
不利になりますから、
上記のような症状が出ていて、なかなか治らない!というような場合に
関しては、なるべく早めに、病院で治療を受けるように
することが、望ましいのではないかと思います。
まとめ
詳細な原因は不明、治療方法も完治させる方法は不明、
最悪の場合は失明することがある、という
かなり厄介な潰瘍です。
ただし、これをどのように予防するのか?というお話になってしまうと、
具体的な予防方法もありません。
大切なのは、モーレン潰瘍に限らず、何らかの、目に違和感を
感じるような症状が出てきてしまった場合は、
早めに眼科に足を運び、治療をスタートする!ということが
大事なのではないかな、と思います。
手遅れになってしまう前に、
眼科でしっかりとした治療を受けていくようにしましょう。